それでも大家を続けますか?

05/26/2011 / 11:08
それでも大家を続けますか?

このところ「家を売りたい」という問い合わせの中に大家さんの比率が増えているような気がします。

大家さんというのは英語ではランドロード(Landlord)、実際にはそれを職業としているプロのランドロードとそうでないランドロード、いわゆる副業としての大家さんに大別されます。

前者にはインベスターやプロパティーマネジメント会社が含まれ、後者にはタウンハウスの上の階を貸し出して収入の足しにしているホーム・オーナーから、本業はありながらも、自宅以外に数件の物件を持ち収入を得ているセミプロの大家さんも含まれます。

このように、一言でランドロードといっても「何のために物件を貸しているのか?」という金銭面での事情を背景に様々なタイプの大家さんが存在するわけです。

そして、冒頭の「家を売りたい」という大家さんの多くは、本業はありながらも自宅以外に数件の物件を持ち収入を得ているタイプの大家さん、つまりセミプロの大家さん達です。

例を挙げれば、不動産バブル前、ニューヨークの不動産が今とは比較にならないほど安い時期に自宅の一部を貸し出せるタイプの物件(マルチファミリー・タウンハウス)を購入し、レント(家賃)収入でローンの支払いの一部もしくは全てを相殺し、その後、不動産バブルにより、うなぎ登りに上がった不動産価値を利用し次の物件を購入。その後も短期間にさらに1~2件の物件を購入・・・という感じです。

その結果、現在自宅以外に2~4件の物件を所有しているというのが典型的なパターンであり、それぞれの物件に対し1~2ユニットを貸し出しているというような感じです。

この手の大家さんたちが物件を売ることを決断する最も大きな要因は・・・・・・・・ズバリ「疲れ」です。

大家業というのは、プロとして行った場合と副業として行った場合ではその労力や時間拘束に大きな差があり、その差が顕著になるのが自宅以外の物件を管理し始めた2~3軒目からなのです。

仕事という意味で見ると大家業には「テナントの世話」「物件の世話」「お金の世話」という「3つの世話」があります。

問題は自宅の上階を貸しているレベルでは、この3つの世話のどれもがこれまでの生活の延長線上で行える上、何とか自分一人もしくは夫婦でこなすことができるのですが、複数軒の物件を持つようになると、それぞれに専門知識と対策、プロフェッショナルヘルプなどが必要になってくることです。

これを乗り越え、専業ランドロードへの道を進まれるかたももちろん存在しますが、実際はこれ以上物件を増やすことをせず、現状維持の状態が長く続く大家さんがほとんどです。

この理由の一つは、プロのランドロード(投資家)は収入であるレントと支出である管理経費に対して非常にシビアであり、常に双方を景気に連動させている上、ダウンターン・エコノミー下でも新規投資可能な資金力と物件購入の術を心得ているのに対し、副業としてランドロードをしている大家さんにはこれが難しいことにあります。

例えば圧倒的に投資企業所有比率が高いマンハッタンのレンタルアパートメントの家賃やコンセッション(値引き等の借り手特典)は、個人所有のレンタルアパートが多いブルックリンのレンタルマーケットに比べ数ヶ月早く景気に連動した動きを見せます。

さらにこの「3つの世話」をビジネスという視点からみてみると「テナントの世話=対人コミュニケーション」「物件の世話=建築・工事・大工」、「お金の世話=投資・税金・マネジメント」という具合に、全く別のカテゴリのビジネスセンスが必要であり、あるレベルを越えた時点から、一人もしくは夫婦で全てこなすには無理が出てくることがわかります。

スモールビジネスが大きくなれない理由の一つはオーナーが何から何までやろうとすることだとよく言われますが、ランドロードというビジネスの本質はレンタルアパートビジネスへの投資であり、同じことが当てはまります。そして大家さんからビジネス投資家への脱皮というのは想像以上に難しい世界なのです。

実際プロのランドロード、つまり投資家はそれぞれの分野にその道に通じたプロを使うことで、自分自身は新規投資とマネジメントに徹していることがほとんどです。

そして、この「3つの世話」の中で最も大変なのはもちろん、人間を相手にする「テナントの世話」なわけですが、例えば夫婦で兼業大家さんをしている場合、往々にして「物件&お金の世話」係を一人が、もう一人が「テナントの世話」係をすることとなってしまいます。

結果として、アパートの数が増えるにつれ「テナントの世話」係の負担は級数的に大きくなり・・・「疲れたからそろそろ辞めたい」という話しにもなっていくわけです。

特に現在のニューヨークの経済状況では、テナントと大家の関係は年々難しくなっており、以前よりこの傾向が強まっているように感じます。

10年前に自宅を買って上の階を貸し出しました。その数年後に引っ越してもう一軒、さらにもう一軒。しばらくは頑張って3軒の物件を維持していたんですが、その数年後・・・自宅のみを残して全て売却しました。「そのときの気持ちといったら、あーっ、すっきりした!でした」という話しを、先日参加した大家さんたちの集まりに参加されていた方が話されていました。

もちろん話しを聞いていた多くの人が深くうなずいてたんですが、でもその方「実は最近はまた何かいい物件はないかと、ネットをチェックする毎日ですよね~!」と、最後におっしゃっていました。

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