先日住宅用不動産を扱っているエージェント同士でのビジネスランチに呼ばれて参加してきました。

ニューヨーク中の不動産会社から一線で活躍するエージェントが15人ほど集まり情報交換をしたわけですが、皆年間20件前後のトランザクションをこなすエージェントですので、300件以上の昨年のニューヨーク不動産取引をベースとした情報交換ができるというわけで、なかなか中身の濃いランチミーティングでした。

中でも「昨年ニューヨークの不動産を購入したバイヤーの購入理由」についてのディスカッションは最近の政治経済の状況も交え非常に盛りあがり、興味深かったのでシェアさせていただきたいと思います。

賃料が上がり続けるから買う

賃貸住宅がビジネスである以上その価格、つまり家賃が年々上がっていくのは仕方のないことですが、値上がりの激しい都市部の不動産売買ではレンタルマーケットの動向が売買マーケットに大きな影響を持ちます。

ニューヨークの家賃の値上がり率は若干スローダウンしているものの、例えば今年1月のマンハッタンのレントは昨年対比で3%弱の値上がりとなっており、これまで据え置かれていた rent stabilized apartment も、1年契約で1.25%、2年契約で2%の値上がりが決まっています。

ということで、賃料=生活コストに歯止めをかけるということが昨年ニューヨークで自宅を購入したバイヤーの最も大きな動機ということでした。

家族構成がかわったから買う

ニューヨークに限らず家族構成の変化というのは不動産売買や借り換えの大きな理由の一つです。結婚するから購入したい、離婚するから売却したい、子供が生まれるから購入したい、子供が家を出るから売却したい・・・などライフスタイルと家族サイズにあった物件を探すわけですが、このようなライフイベントの際には、将来に対する計画や資産作りなどについてより真剣に考える機会でもあり、不動産の購入・売却を考える大きな理由となっています。

またそれまで小さかった子供が就学することで学区を考慮しての引っ越しが必要となり物件購入に踏み切るという話も多く聞かれました。

お金が手に入ったから買う

この理由による購入もかなりの数あがり、その場での集計では物件購入理由の上位となりました。

ウォールストリートのボーナスは、購入者の25%が全額現金での購入と言われるニューヨーク不動産売買では、その動向を左右する指標の一つですが、このところのボーナスの動向は好調で、2016年は昨対で1%増、2017年は同3.8%増となっています。

現金を取得理由はボーナスによるものが多数をしめましたが、他にも遺産の相続やビジネスの売却、その他資産の売却などがありました。またこれらの現金収入があったことによる不動産購入では、100%現金での購入だけではなく、頭金を大きくローン部分を小さくした購入者の割合が増えているという声が多く聞かれました。

ダウンサイジングのために買う

以外に多かったのが「ダウンサイジング」という理由です。ただダンサイジングをするということ自体に理由があり、その理由は多くの場合「賃料の値上がり」や「家族構成の変化」と絡んでいます。

例えばこれまで家族で住んでいた賃貸アパートから子供が巣立ったことで夫婦のみで暮らすためのアパートを購入するという場合や、離婚によりそれまで持っていた物件を売却、その後自分用にサイズの小さいアパートを購入するなど、またキャッシュアウトのためにそれまで住んでいた大型のコンドミニアムを売却し小さめの物件を購入するというストーリーも具体的な数字で紹介されました。

漠然とした不安感から買う

これは直接的な不動産購入の理由というわけではありませんが、経済や政治に対する先行き不安感からの購入や資産を守るという意味での購入という話が非常に多くでました。

個々のストーリーや置かれているシチュエーションには違いがあるものの数十万ドルから数ミリオンの物件まで、昨年自宅を購入し他あらゆる購入者層に見られた傾向です。

また昨年の物件購入理由とはことなりますが、新しい課税制度の導入に対する影響についても多くの意見交換がされました。ただ住宅ローン利息に対する課税控除の縮小が当初の500Kから750Kに緩和されこともあり、(高額物件はローンを使用しない購入が多いため)大きな影響は見られないのではないかとの意見が大半をしめました。