ニューヨークでは、コロナウイルスのための自宅待機措置がスタートして約2ヶ月が過ぎました。

ニューヨーク市内のコロナウイルスの状況は、全ての指標で下降線をたどっているものの未だ厳しい状況が続いています。

しかし、9/11の時にも感じたことですが、危機的状況になったときのニューヨーク市、あるいはニューヨーク市民の動きには感心させられることや学ぶべきことが多く、市民の多くは、協力し合いながらこの難局を乗り切ろうという雰囲気を感じます。

また、多くの人々が、この新しく生まれた時間を使って「自宅でできることや自宅でやれることの可能性」について知恵を絞っており、例えば、クッキングやクラフト、インテリアやガーデニング、あるいは新しいスキルや知識を身につけるためのオンラインラーニングなどをソーシャルメディアなどでよく見かけます。

私の勤務するコーコラングループでも、オフィスは完全にクローズですが、毎日ランチタイムにオンラインミーティングがあり、またオンライン上でのトレーニングクラスや様々なイベントが毎日のように行われています。

不動産マーケットについては、まず不動産業自体が、政府や自治体から営業を許可されたEssenntial Workではないため、対人接触を伴う全ての活動が禁じられています。

このため、自宅待機措置以前に成約となっていた物件については、ビデオ会議システムなどを通し継続していますが、対人接触を伴う新しい販売活動については法的に禁止されている状態です。

中にはビデオツアーを使って物件を見せることを前提に、自宅待機措置以降にリスティングされた新しい物件もありますが、ビデオで見ただけで物件の購入を決定するというのは稀です。

メディアなどでオンラインだけで購入したという購入者の話を取り上げ、まるでそれが新しい流れのように書いているようなものも見かけますが、不動産会社とメディアが協力してつくっている記事であり、実際にはほとんどありません。

ビジネス活動の再開については、まだ見通しは立っておらず、早期の再開を進めようとしている連邦政府と、それに反対している知事との間での綱引きが続いている状況ですが、ニューヨーク州では、エリアによりビジネスの再開を行うことを決定し、7つの基準を満たしているエリアから徐々に経済活動が再開されつつあります。

残念ながらニューヨーク市が再開するまでにはしばらく時間がかかりそうですが、再開した場合、不動産事業は4段階の再開フェーズのうち、2番目に入っていますので、産業全体の中では比較的早い段階での再開となるはずです。

リーマンショック前後のマンハッタンの不動産価格(床面積当たりの価格)薄い灰色はインフレ調整後の価格

再開後のマーケットがどうなるかについてですが、例えば2009年のリーマンショック後の不動産マーケットでは、マンハッタンにおける床面積当たりの不動産価格は約9%の下落があり、その後2013年にリーマンショック前の価格に戻しました。

また、エリアで見るとマンハッタン、ブルックリンは同様の動きを見せたのに対し、クイーンズ、ウエストチェスター、ロングアイランドなどは、下落率が20%以上となると共に、その回復は2016年までかかりました。

今回も価格が下落する可能性はあるわけですが、実は、当時の価格下落に対してバイヤーからの買いが殺到したかというとその逆で、価格下落時、特に最も下がった2009年にはほとんど物件が動くことはありませんでした。

モーゲージ審査基準の引き締めによる貸し渋りが起こったことに加え、投資家(キャッシュバイヤー)は景気の下振れに対して流動資産確保を優先し不動産への投資を控えたことがその原因です。

現在、銀行業務もコロナウイルスの影響により大きな打撃を受けており、モーゲージについても動いていない状況ですが、空前の失業率を受けて既に審査基準の引き締めは始まっており、今後もその傾向は続くことが予想されます。

既に多くの方々より、マーケット再開後の計画についてご相談を受けておりますが、特に不動産売却を考えられている場合には、様々な状況変化を想定し、今のうちから販売の計画と準備を整えておくことが大切です。

ニューヨークの不動産マーケットの再開については、この夏になるのか、秋、あるいは来春になるのか、今のところ全く見通しが立っていない状況ですが、これは逆に、5年後、10年後の生き方、リタイヤ後の計画、死後の資産相続など、普段あまり考える時間や相談する機会がない、長期的な人生設計について、しっかりと時間をかけて考えるにはちょうど良い機会ではないかと思います。

不動産は長期的な人生設計の鍵。

小さな事や、漠然とした内容でも全く問題ありませんので、知りたいこと、わからないことなどございましたら、いつでもお気軽にご連絡ください。