2012.3.13

ニューヨークで不動産投資。基本となる5つの理由。

初夏のようなニューヨーク。乾いた暖かい風はなんとも気持ちよく、街には半袖の人も歩いています。

さて年明けから不動産投資に関するお問い合わせを多く頂いているということもあり、個人で始める不動産投資について書いてみたいと思います。まずは基本の基本。

こちらのベーシックな不動産投資セミナーでよく話される個人が不動産投資をする5つの理由について見てみたいと思います。投資対象は4世帯以下のタウンハウスや一軒家、もしくはコンドミニアムです。

Cash Flow

不動産投資に対するキャッシュ・フローは、毎月振り込まれるレンタル・インカム(家賃収入)のことを指します。キャピタル・ゲインに対するインカム・ゲインという言い方もできますが、これはある意味最も重要な要素の一つです。

よく日本などで行われる海外不動産投資セミナーやニューヨーク不動産投資セミナーなどでは「購入して10年持って時価が上がったところで売却」のようなキャピタル・ゲイン(価値上昇による利益)を強調している向きもありますが、10年後の資産価値は誰にもわからないわけですから、キャピタル・ゲインのみを重視した投資は非常に危険です。

これに対してキャッシュ・フロー、つまりインカム・ゲインを重視するというのは、売却益が目的ではなく、長期的に安定した家賃収入を得ることが目的となりますので、ギャンブル性は非常に低く、当然ですが物件の選び方も全く異なります。

これに関しては考慮しなければならない点が多岐にわたるため、私自身が投資不動産購入のお手伝いをする場合、まずこの部分の詳細についてしっかりとお話しを差し上げています。

Appreciation

アプリシエーションとは不動産を所有している間に不動産価値が自然に上昇することを指します。この不動産価値の自然な上昇により、売却時の利益、つまりキャピタル・ゲインが生まれるわけです。確かにニューヨークの不動産価格を平均して長期的に見れば上昇傾向にあるのは事実ですが、購入した不動産がその傾向に沿って動くかどうかは別の問題な上、未来を確実に予測することは不可能なため「アプリシエーションがある」と決め込んで投資をするのは非常に危険です。

Depreciation

ディプリシエーションというのは減価償却のことを指します。4世帯以下の住宅用不動産には会計上27.5年間の減価償却が認められています。つまり、例えば500K(50万ドル)のコンドミニアムを投資として購入した場合、50万ドルを27.5年で割った約1万8千ドルを毎年、自身の課税所得から控除できるということになります(Straight Line Depreciation)。

Amortization

無理やりカタカナすればアーマティゼーションという感じでしょうか。
ローンを利用して購入した場合、毎月のローンの返済額の中には「元本に対する支払い」と「利息に対する支払い」が含まれます。
例えば下のグラフをご覧下さい。450K(45万ドル)の30年固定金利ローンを組んだ場合、毎月の支払いは約$2415ドルであり、これは30年間全く変わりません(棒グラフの高さ)。

しかしその内訳は返済年が進むに連れ(右に行くに連れ)変化します。グラフでは、薄いオレンジの部分が利息への支払い、濃いオレンジの部分が元本への支払い、点で結ばれたラインは元本そのものが減っていくことをあらわします。

つまり一般的にローンの返済においては、返済当初の支払い(グラフの左のほう)はそのほとんどが銀行への利息に充当され、返却年数が進むごとに元本支払い部分(濃いオレンジの部分)が徐々に多くなり、最終的には償還つまり完済されるというわけです。

このように一定の年月をかけてローンが返済されていくことをアーマティゼーションと呼び、この詳細を示したチャートはAmortization Schedule とかAmortization Table などと呼ばれます。

アーマティゼーションが進めば進むほど不動産は金融資産としてのフレキシビリティーを増してくるわけですが、ポイントは、このアーマティゼーションが自分自身ではなく、テナントが行ってくれるということにあります。「不動産投資では他人が自分の資産を形成してくれる」と言われる所以がここにあります。

Diversified portfolio

個人投資家がその資産を分散しリスク軽減をしたい場合、住宅不動産への投資は魅力的な選択肢の一つです。不動産は株と違い価値がなくなっても紙切れにはならないとよく言われますが、その意味では将来的に単に投資の意味を超えて物件を活用できる可能性もあります。現在は無理でも、将来への分散投資の入口にするという意味でも不動産投資は有効です。

ということで今回は一般的に言われる不動産投資を行う5つの理由に関して簡単に触れてみました。ニューヨーク不動産への投資を行う場合、この他にもいくつか非常に重要なポイントがあり、投資不動産購入のご相談の際にはいつもお話しをするのですが、物件探しの前に、投資の目的とリスクをしっかりと把握することが成功への近道といえます。

投資される方のおかれている環境や状況により異なるため今回は触れませんでしたが「日本からニューヨークに投資する」という場合には話しが全く変わりますので注意が必要です。