売買・賃貸・金利・マインド:現在のNYC不動産マーケット
気がつけば2023年となり、チャイニーズニューイヤー(今年は1/22でした)も終わり落ち着いた日が続いているニューヨークです。
久しぶりのポストになります。昨年は金利の上昇などにもかかわらずお陰様で非常に忙しい年となり、多くのクライアントのお手伝いをさせていただくことが出来ました。また、私自身の仕事の多くは以前のクライアントの方々からのご紹介であり、大変感謝いたしております。本年もベストなサービスとネットワークで、NYCにおける不動産の売却と購入をお手伝いさせていただきたいと思いますのでよろしくお願い致します。
1月が終わってしまう前に、現在のニューヨークのマーケットについてアップ–デートをしたいと思います。
まず気になるモーゲージ(住宅ローン)金利についてですが、この3ヶ月間の推移は以下の通り緩やかに下がってきており、引き続きこの傾向が続くと言われています。このためこれまで金利が高いことを理由に真ホーム購入に踏み切れなかったバイヤーが、また少しずつ物件購入に向けて動き出しているような状態です。

<直近3ヶ月のモーゲージ金利の推移(出典:Zillow)>
またチャートでもわかるとおり、30年固定金利ローンより変動金利ローン(ここでは7-year ARM)がかなり低いため、マイホームの購入時に変動金利ローンを使用する方が増えています。変動金利ローンは例えば、7-year ARM(あるいは7/1 ARM)の場合、最初の7年間は固定金利となり、その後にローン金利が変動しはじめます。
そのため基本的には固定金利である最初の7年間のどこかで、固定金利ローンにリファイナンスをおこなうのが一般的です。7年間が短すぎだという場合には10年間固定の10/1 ARMというローンもありますし、逆に投資目的などで4年後に売却が決まっている・・・というような場合には5/1 ARMという固定金利期間が短いローンもあり、用途に合わせた利用が可能です。
さてそれでは実際のマーケットはどのような動きを見せているのでしょうか。マクロの経済動向が不動産のマーケットに反映されるまでには3-6ヶ月かかると言われるため新年がはじまったばかりの現時点では確認に限界がありますが、いくつか変化の見える指標をチェックしてみたいと思います。
① ニューデベロップメントの値下げ可能率
一般的にNYCのニューデベロップメント(新築コンドミニアムビルディング)は値下げ交渉にほとんど応じませんが、逆に言えば値下げをするということはせざるを得ない理由により強くプッシュされていることを意味します。以下が直近18ヶ月間のニューデベロップメントにおける値下げ可能率の推移となります。これを見ると2021年の夏に5%であった値下げ率が現在では1%前後にまで落ちてきていることがわかります。

<ニューデベロップメントの値下げ可能率>
②リセール(中古物件)の値下げ可能率
ニューヨークマーケットのメインである中古物件における値下げ可能率ですが、こちらはアスキングプライス(セラーが提示している販売価格)が販売期間中に変動するため、セラーの最後の提示額と実際に販売された額の差をパーセンテージであらわした数字になります。ご覧いただくとわかるとおりCOVIDの嵐が吹き荒れていた期間には4%まで上がっていた値下げ可能率が現在ではCOVID前の水準(2%)に落ち着いている様子が見て取れます。

<リセールにおける値下げ可能率>
③床面積当たりの物件価格
最もわかりやすい指標の一つである床面積上がりの物件価格についてですが、こちらはニューデベロップメントと、床面積が定められていないコープは除いた、リセール・コンドミニアムの1スクエアフットあたりの物件価格となります。上記2つのチャート同様、実際に販売された物件のみを対象とした数字ですが、こちらも最も下がった2020年の第四四半期($1,112/SqFt)から徐々に回復し、2018年の第二四半期の数字をやや上回る額($1,270/SqFt)となっています。

<床面積上がりの物件価格>
実際の物件価格については、物件のエリアや価格帯、また間取りや状態などにより大きく変化しますのでこれらの数字はあくまでニューヨークマーケット全体における現在の傾向ということになりますが、今年も少しずつモーゲージ金利の低下が進めば、より多くのバイヤーが物件購入を本格化させ、それに合わせてセラーも物件販売を真剣に考えはじめるようになるのではないかと思います。
さて、最後にレンタルマーケットについてですが、一時期の異常な過熱ぶりは若干落ち着いた感がある物の、レント自体は上昇傾向にあります。下のチャートは直近18ヶ月間の平均賃料の推移です。

<平均レントの推移>
レンタルに関しては間取り(ベッドルーム数)により傾向がことなりますが、上記のチャートは全ての平均となります。ベッドルーム数による違いとしては、スタジオ・1ベッドルームアパートメントは上記チャートとほぼ同じ傾向にありますが、2ベッドルーム、3ベッドルームについてはレントの下降は見られず、引き続き上昇傾向にあります。