フリーランスは税金を払うが勝ち?
Labor Dayも終わり秋の気配漂うニューヨークです。これらのニューヨークは紅葉がはじまり、ハロウィーン、サンクスギビング、クリスマス・・・とホリデームード一杯の楽しい季節に突入します。
不動産マーケットのほうも、春に並ぶ不動産シーズンであり、多くの方がマイホームやインベストメント用の物件を求め毎週末オープンハウスに足を運んでいます。
特に今年は人気物件には初日に数十人以上の来場者が集まり、その場で複数オファーが入るという活況ぶり。よい物件を購入するためには物件探しの前に十分に準備をしておく必要があります。
ここでいう準備が何かといえば・・・モーゲージ(住宅ローン)のことです。
モーゲージを利用して住宅を購入する場合には「あなたはこの金額モーゲージを使うことができます」という銀行やモーゲージブローカーからのレター、つまりPre-Qualification Letter がないと、物件への入札すらできません。
ちなみに全額現金での購入を考えている場合には、手元に現金があることを証明するバンクステートメントがあれば物件に対する入札(オファー)が可能です。
ということで、モーゲージを利用する場合には欠かせないPre-Qualification Letterですが、必要書類がそろっていれば申し込んだその日に入手することが可能であり、とくに会社勤めをされており、毎年W-2をもらっている場合には必要書類は非常にシンプルですので、書類集めにもあまり時間はかからないと思います。
またいくらまでのモーゲージが組めるかということに関しても、クレジットスコアに問題がなく、勤務年数がある程度あり、借金などがない場合であれば、W-2に記載されているご自身の年収から大よその予想はつきます。
一方注意したいのはフリーランスやご自身で事業を経営されている場合です。
アーティストやミュージシャン、ジャーナリストにフォトグラファー、ライター、エディター、コリオグラファーなど、フリーランスとして活躍する人達が多いのはニューヨークの特徴であり、まさにこの街の魅力と活力の源なわけですが、モーゲージを組む際には注意が必要です。
というのも、これらの仕事で収入を得ている場合、多くの方が行っている「賢い節税」がモーゲージ取得の際に仇になることがあるからです。
一部の商品を除き、住宅ローンの審査の際には直近2年分の年収によりローン可能額が決まります。
そしてこの「年収」というのは、例えばフリーランサーの方の場合、クライアントや顧客から一年間にいくらもらったかではなく、その額から全ての経費を差し引いた「利益部分=Taxable Income」を指すことになります。
大雑把に例えれば、1年間合計で10万ドルの仕事をしてその分のチェックをもらったとしても、納税時に経費が4万ドルかかっていますと申請していれば、その方の収入は6万ドルというわけですので、銀行側は10万ドルではなく、6万ドルをベースにローン貸付金額を算出するというわけです。
言い換えれば、Taxable Income が大きければ大きいほど、沢山のお金を借りることができる。つまり、税金を多く納めているほど高額のローンを組むことが出来る・・・ということになります。
ということで、フリーランサーや事業経営をされており、Taxable Income をある程度ご自身で調整可能な立場にある方は、十分なモーゲージを借りるためにはTaxable Income をいくらに設定しておかなければならないかを逆算してタックスリターンを行う必要があるというわけです。
ちなみにマイホーム購入後にTaxable Incomeを再調整することは全く問題ありません。もちろん「今の自分の状況だとどうすればいいの?」という方はいつでもお気軽にご連絡ください。