雨ニモマケズ雪ニモマケズ。
ニューヨークは本当に四季の変化が豊かな街です。
春夏秋冬ぞれぞれの特徴は単に変化する自然というだけではなく、この街で暮らす多様な人々が生み出す文化や行事と相まって、ニューヨーク独特の季節感のようなものを作り出しています。
特にこの街で子育てをしていると、こうした街が作り出す四季の変化、色や匂い気温や湿度、音楽や言葉や街行く人々の表情などが、ここで育つ子供達にとっての原風景となっていっていることを強く感じます。
そんな四季の変化はニューヨークの大きな魅力ではありますが、こと「建物」にとっては注意が必要な天敵であることも多くあります。
特に「雨と雪」はトラブルメーカーです。
ニューヨークには梅雨はありませんがストームを伴う雨は非常に激しく、時にハリケーンを伴い大きな災害をもたらします。
また雪国というわけではないものの、冬は毎年数回大雪に見舞われ、雪に対する準備は欠かせません。
特にブラウンストーンやライムストーンも含めニューヨークに多いレンガ造りの建物に関しては、レンガとレンガの間のモルタル部分が弱点。というのもモルタルは時間とともに劣化が進むからです。
例えば建物の外壁面のモルタルに経年劣化がある場合、打ち付けるような雨が降るとその部分から浸水が起こります。
そしてこの浸水は、内壁面を伝わり下の階へと進み、下の階の天井裏へと伝わり、天井の水漏れとなるわけです。
水漏れが起こった階に住んでいる人は、当然のことながらまず上の階を疑うわけですが、実は数階上のビル側面のモルタル劣化が原因というのはよくある話です。
また非常階段と外壁面の接合部分も非常階段の重さによる負荷がかかりますので劣化が進みやすく雨の侵入を許す原因になりやすい場所です。
これらはレンガ造りのビルの特徴でもありますから、定期的にRepointing(劣化が進んでいる箇所の古いモルタルを取り除き新しくすること)の必要があります。
また、集合住宅(コンド・コープ・レンタルアパート)であれば最上階に住んでいる人が最も大きな被害にあうのがルーフトップからの浸水と雨漏りです。
もっともシンプルなパターンは、屋根に水が浸水する穴がある場合です。穴となる箇所が出来る原因は数多くありますが、例えば以下はよくある原因箇所です。
- 屋根をカバーするラバー素材の繋ぎ目の劣化
- 天窓(Skylight)の接合部分からの浸水
- 古い煙突周辺からの浸水
これらは屋根に上り雨漏りがしている周辺箇所を見れば比較的簡単に原因を突き止めることができます。
問題なのは通常の雨では雨漏りしないタイプの雨漏りです。
このタイプの雨漏りは雨が降っただけでは例え激しい雨であったとしても起こりませんが、屋根の上に水が溜まり続けた場合にのみ起こります。
つまり、例えば雪が屋根に積もった後、何日もかけて解けていく場合や、落ち葉が雨樋に詰まったことで、降った雨が屋根の上を流れていかず、水溜りのように雨が屋根の上に滞留してからはじめて起こるような雨漏りです。
滞留した水が少しずつ染み込むかたちで雨漏りが起こるわけですが、屋根に使用されている素材の結合部分の劣化や、目に見えない亀裂などが原因の場合が多く、しっかりと調査をしないと原因箇所を特定するのが難しいため、専門家(Roofing Contractor)をつかい原因箇所を特定し修理する必要があります。
屋根の修復は原因箇所をパッチする方法がよくつかわれますが、古い屋根の場合にはパッチをしても数年後にパッチした場所がまた劣化することも多く、例えばタウンハウスを購入した場合などには屋根を総張替えしてしまうこともよくあることです。
ということで、変化の激しいニューヨークの天候に耐えうるためにはビル自体もしっかりと準備とメンテナンスをし続けていくことが大切です。