2015.2.6

変動金利ローンの使い方。

2月に入ってから物件探しのお手伝いを始めた何人かのクライアントの方から、ご紹介した銀行やモーゲージブローカーから取得したPre-Approval Letterを送っていただいたのですが、現在30 Years Fixed で4%を切る低金利になっています(もちろん金利はロックするまで変化し続けますのでこの時点での数字にあまり意味はありませんが)。

固定金利がこの低さですので、変動金利モーゲージを調べてみると、例えば7/1 ARMが2.85%前後で出ています。これは低いですね。

前回、マイホーム購入などの一般的な不動産購入においては、30 Years Fixed、つまり30年間固定金利のモーゲージを利用するのがいいというお話をしました。

では変動金利というのは、誰がどのようなときに利用するのでしょうか?

変動金利モーゲージはARM (Adjustable Rate Mortgage) と呼ばれます。借入金に対する銀行金利がマーケットに連動し変動していくわけですが、この金利変動は、通常一定の固定金利期間を過ぎた後に始まります。

ちなみに固定金利モーゲージのことは、FRM (Fixed Rate Mortgage)と呼ばれます。またここではモーゲージとローンという言葉は同じ意味で使用しています。

このためARM商品には、例えば3/1 ARM とか、7/1 ARMのように、頭に数字がついており、この最初の数字が固定金利である年数を表します。例えば返済期間が30年の3/1 ARMの場合、最初の3年間が固定金利であり、その後27年間は変動金利となります。

またARMの固定金利期間の金利は、一般の固定金利モーゲージ(例えば30 Years Fixed)より低いのが一般的です。

ですので、先述のように30 Years Fixed の金利が例えば3.95%のときに、7/1 ARMの金利、つまり最初の7年間の固定金利は、2.85%というような数字になるわけです。

では、仮に7/1 ARMを利用し住宅ローンを借りたとして、固定金利期間が終了した7年後からは、金利はどのように変化するのでしょうか?

実はこれについては予測は不可能なのが実情です。

というのも、上がり方のルールは、銀行マージン(Margin)、金利上がり幅の上限 (Adjustment Cap)、金利そのものの上限 (Maximum Rate)などが契約書内に細かく設定されてるわけですが、実際の上がり方はマーケットのレートに連動するため、誰にも予測できないというわけです。

また何のマーケットのレートに連動するかというのも商品により様々です。

住宅ローンなのだからモーゲージマーケットのレートに連動すると思われるかもしれませんが、実際に利用されるのは、Bank Prime Loan Rate や 3-Year Treasury Constant Maturity Rate など、各商品の契約書に書かれた様々な経済指標(INDEX)が利用されます。

と、ここまで書くと、ややこしい上に金利が変化していくARMというのは使い道がないように思われるかもしれませんが実際には以下のような場合によく利用されます。

  1. 一定期間しか物件を所有しないことが予めわかっている場合。
  2. 固定金利期間にローンを借りかえることを前提とした利用。
  3. 固定金利ローンの利用が難しい場合の利用。
  4. 固定金利期間内にローンの返済が可能な場合。

「一定期間しか物件を所有しないことが予めわかっている場合」というのは、例えば7年間後の値上がり益を狙ったインベストメントとして物件を購入する場合や、マイホームとしての購入であっても予め5年以内には引っ越すことが決まっているような場合です。

マイホームの場合でもインベストメントの場合でも変動金利期間になる前に物件の売却を行ってしまうため、変動金利によるリスクは考えなくてもよい上、通常の30 Years Fixedよりも低い金利でローンを利用できるというわけです。

「固定金利期間にローンを借りかえることを前提とした利用」というのは、例えばマイホームを購入後の最初の数年間の毎月の支払いを低くするために5/1 ARMを利用し、その後収入などが増えた時点で固定金利ローンに借り替えをするという場合です。

ただしこの場合には、借り替えをする際の金利がどの程度なのか予測するのが難しいというリスクは負います。

「固定金利ローンの利用が難しい場合の利用」というのは、物件価格に対して30 Years Fixedローンでは借り入れ金額が足りない場合、金利が低い5/1 ARMなどを利用することで借り入れ金額を増やし、希望の物件の購入を行うというシチュエーションになります。

この場合やはり、数年後に年収が上がることなどを前提に固定金利ローンへの借り替えなどを目指しますが、実際に計画通り年収が上がるかどうかや、借り替え時の金利がわからないことなどのリスクがあることに注意が必要です。

本来であれば何とか頭金を増やし、借入額を下げることで固定金利ローンを利用するのが理想的といえます。

最後の「固定金利期間内にローンの返済が可能な場合」というのは、読んで字のごとく、ARMが変動金利期間に入る前にローンが完済できる場合、わざわざ金利の高い30 Years Fixedを使う理由はなく、完済可能期間にあわせ、3/1 や5/1 ARMが利用されるというわけです。