New Development 購入3つの注意
New Development というのは日本で言うところの新築分譲マンションということになります。日本と異なりニューヨークでは売買物件の中心は中古物件であり、中でも戦前の建物である所謂Pre-War Building は人気があり戦後に建てられた物件や新築物件よりも値段が高い傾向にあります。
ただリゾーニング(土地使用用途の変更)や開発業者への税制優遇策など、このところのニューヨーク市の政策(2010年に一部引き締められましたが)もあり、マンハッタン、ブルックリンにおけるNew Development は今後も増える傾向にあります。
購入者側にとっても、同じエリア内の同等の中古物件より割安、ビルディングや内装などは未使用であり、室内のノベーションなどが必要がない、Property Tax (日本の固定資産税に近い税金)に対する優遇がある場合もある、新築分譲マンションと考えれば我々日本人にも非常になじみがある・・・と一見するといいこと尽くめなNew Development ですが、購入には注意しなければいけない点もいくつかあります。
1.モーゲージ(住宅ローン)を使う場合の注意
まず最初の注意事項はモーゲージに関してです。新築物件の51%ルールと呼ばれるもので、これはモーゲージを実際に利用する段階に、そのビル内のユニット数の51%以上が、販売もしくは契約済みになっていない限りモーゲージがおりないというものです。
例えば購入契約をした際に既にビル内の51%以上が販売もしくは契約済みだったにもかかわらず、モーゲージを組む段になり自分以外の誰かが契約をキャンセルし51%を割ってしまった場合、再び販売・契約数が51%を超えるまでモーゲージを組むことができなくなります。この51%ルールは新築物件にのみ適用されます。もちろん現金で購入する場合には全く関係ありません。
2.入居日を決めづらい場合も
基本的には売買が成立し権利が譲渡された段階ですぐに入居が可能な中古物件に対し、新築物件は、まず先述のような理由によりモーゲージがおりるまでに時間がかかる場合があることや、そのビルそのものCertificate of Occupancy(ニューヨーク市のThe Department of Buildingsが発行する居住許可。一般的にシーオーと呼びます)取得に時間がかかる場合など、契約時に入居予定日を確定できない場合があります。
ただし、もちろんCertificate of Occupancy が既に出ており、しかも51%ルールをクリアしている、もしくは現金での購入をする場合には即入居可能な場合もあります。
3.物件そのもののリスク
これまでの販売実績がなく、その後の物件価値が上がるか下がるか、ビル自体のクオリティーは本当に業者が言っている通りなのかがわからないNew Development に対し金融機関が設けたリスク削減の対策が51%ルールなわけですが、この金融機関の心配は、そのまま購入者の心配としてもあてはまります。
特にいわゆる不動産バブルの最中に計画されたり建設された物件に関しては、物件自体のオーナーや開発業者が二転三転している例も珍しくなく、当初の予定通りに建設されたのか、途中でお金に困って手抜き工事などが起こっていないかなど、一般の購入者はもちろん、我々不動産エージェントであっても情報が手に入らないのが実情です。
といことで3つ目の注意点は、購入後の物件の価値や建物そのもののクオリティなどに関しての情報収集はできる限りするものの、リスクは覚悟で購入を決めなければならないということです。
例えばこれが中古のコンドやコープの場合、ビル内の物件の売買実績などは不動産エージェントを通し入手可能ですし、また実際の契約となれば管理組合の議事録などを閲覧することで、ビル自体になにか問題があったか、修繕などの状況はどうなのか等を確認することが可能です。
他にもいくつか注意しなければいけない点やブルックリンならではの留意点がありますが、今回はひとまず最も大きな3つの注意点を書いてみました。
確かにある意味、腹を決めて購入しなければならない部分があるNew Development ですが、ブルックリンに限って言えば立地や価格、広さやアメニティーなどを考えるとお買い得感のある物件も多く、よく理解したうえで検討すれば素晴らしい選択肢になるはずですので、まずは数多く物件を見てみることをおオススメいたします。
オープンハウスツアー:ブルックリン内をクルマでまわりながら、New Development と中古物件の差なども含め、実際に目で見て感じるオープンハウスツアーを随時お受けしております。ご希望の方はお気軽にご相談ください。