2011.5.11

いい物件がオープンハウス前になくなる秘密。

Carriage House in Cobble Hill

「オープンハウスにいったけど買い手がほぼ決まったと言われた」「新築のビルディングなのに間取りのいいユニットは全て売り切れていた」・・・こんな話をよく聞きます。

先日初めてお会いしたクライアントの方は「自分たちで物件探しをしていて、これだ!と思った物件のファースト・オープンハウスに行ったのに、既にオファーが入っていると言われてわけがわからなかった」と憤慨されていました。

マーケットに出されたと思ったら既に In-Contract のサインがついている・・・何故こんなことになるのでしょうか?

その秘密は「自分たちだけでの物件探し」VS「不動産エージェントを使った物件探し」にあります。

通常我々不動産エージェントが物件をマーケットに出す際には、多少の違いはあっても概ね以下のようなプロセスを踏みます。

  1. 売主からの連絡とミーティング
  2. おおよその販売価格の決定 →仲間のエージェント同士で情報交換
  3. 販売契約の締結 →締結前後にオフィスで情報をシェア
  4. ブローカーズ・オープンハウスの実施 →エージェント&同伴バイヤーにのみ公開
  5. パブリック・オープンハウスの決定 →自社サイトで一般公開
  6. 不動産情報サイトに情報が転載される

これを見ればわかるとおり不動産物件は通常、一般に公開される前に不動産エージェント及び、エージェントに同伴のバイヤーにのみ先行公開される、ブローカーズ・オープンハウスというものが実施されます。

つまり不動産エージェント(バイヤーズ・エージェント)は、物件が一般公開される前に自分のクライアントであるバイヤーに物件を見せることが可能なわけです。

さらに実際は、このブローカーズ・オープンハウスよりも随分前、売主との契約がほぼ決まった時点で、オフィス内、またはエージェント同士での情報交換が行われるため、エージェントは早いときでは、ブローカーズ・オープンハウスが実施される1週間以上前から、その物件がマーケットに出される情報を得ているわけです。

ですので、もしそれが自身のクライアントが興味を持ちそうな物件であれば、そのバイヤーはバイヤーズ・エージェントを通して、いち早くその情報を得ることが可能です。

結果としてブローカーズ・オープンハウスが実施されたときには既にオファーを入れ、その後、パブリック・オープンハウスが始まった時点では、オファーがアクセプト(受諾)されている・・・という状況になるわけです。

例えばボク自身が働くコーコラングループには2000人以上のエージェントが働いており、ブルックリンだけでも200人以上。その皆が毎日のようにブローカーズ・オープンハウスの情報をやり取りしている上、ミーティングの度に契約間近の最新情報が発表されます。またブルックリン内の他の不動産会社との情報交換も頻繁に行われています。

こうして仕入れた情報を元に、ボク自身も少なくとも週3件はブルックリン内のブローカーズ・オープンハウスに足を運びますし、このおかげでクライアントの方にはよい物件情報をいち早くお届けすることが可能となります。もちろんクライアントの方と一緒にバイヤーズ・オープンハウスを訪れることも多くあります。

ということで、例えば不動産会社から集めた2次情報を編集して見せているStreet Easy などの不動産情報をもとに、そこに掲載されているオープンハウス情報を元に出かけても「既にオファーが入っていた・・・」というような冒頭のようなことがおこる理由が少しお分かりいただけたのではないかと思います。

新築物件がオープン前に売れてしまっている理由に関してはさらに秘密(?)があるのですが、それはまた別の機会に書いてみたいと思います。