アトランティック・アヴェニュー・ドリーム
地元に30年以上暮らす大家のおばちゃんの話し。
あたしが若かった頃にアトランティック・アベニューが再開発されるって聞いて、どうなることやらって思ってたら結局何にも起こらずじまい。母親に聞いたら、10年前からそんな話しが出ては消えしてるって・・・。でも、何かようやく今になって街が変わって言ってるわね・・・。
アトランティック・アヴェニュー(Atlantic Ave)というの はブルックリンを東西に走る長い大通り。下の地図をの左右に伸びている紫色のラインがそれです。
ただ実際ボクが仕事で訪れる場所といえば地図でいえばこの左サイド。
実は冒頭のおばちゃんもBoerum Hill に住んでいるため、彼女のいう再開発というのは主にこの周辺の話しとなります。
そして、このおばちゃんが言うとおり、今アトランティック・アヴェニュー周辺の街は目に見えて換わりつつあります。
例えば、左端に見えるイースト・リバー沿いはウォーターフロントパークとして再開発が進み、周辺のレッド・フック (Red Hook)はリゾーニングにより宅地開発が進み、フォート・グリーン(Fort Greene)、パーク・スロープ(Park Slope)、ボーレム・ヒル(Boerum Hill)、プロスペクト・ハイツ (Prospect Heights)が顔をあわせるアトランティック・アヴェニュー駅の前には、ネッツスタジアムと複合モールからなるアトランティック・ヤードの建設が進んでいます。

アトランティック・アヴェニュー:ボーレム・ヒル周辺
特にボーレム・ヒル周辺のアトランティック・アヴェニューでは、次々と魅力的な路面店が立ち並び、少し前では想像もできなかったような洒落た街並みを作り出しています。
実はこの界隈にはボク自身が運営に携わっている日本語サタデースクールもあったりして、何かと縁が深いエリアなのですが、先日アトランティック・アヴェニューを歩いていたら、ふと一軒の店が目に留まりました。
モールディングがピンクと紫に塗られたこのお店、実はこのモールディングを最初にピンクと紫に塗ったのはボクの友人でした。
随分昔のことになりますが、まだアトランティック・アヴェニューに現在ほど多くの店がなかったとき、自分の店を持ちたかった彼女が満面の笑みで、塗りたての店とその内装を見せてくれたことを思い出します。
破格のレントでこの店を借りた彼女ですが、今思えば、少し早すぎたのかもしれません・・・。当時この周辺は今では考えられないほど人通りも少なく、残念ながらその数年後、彼女は店を閉じることとなりました。
その後何人借主が代わったのかは定かではありませんが、ピンクと紫のモールディングだけは当時のまま・・・店のアイデンティティーにもなっている感じですが、ボクにとっては色々な思い出を感じさせるペイントです。
住む人が変化すればそれに合わせ軒を連ねる店も変わり、そしてそれがその街の表情ともいえる界隈の雰囲気を生み出していくわけです。
しかし、これまで幾度となく騒がれては消えたアトランティック・アヴェニューの再開発。日々その表情をかえている街並みを見るに付け、どうやら今回こそ本物のようだと、色々な意味で実感する今日この頃です。