マンハッタン&ブルックリン不動産マーケット短観
今日、マンハッタンとブルックリンの5月の不動産マーケット短観がコーコラングループより発表されました。
ニューヨークの不動産マーケットについてチェックするとき注意したいのは、価格については必ず、平均価格(Average Price)ではなく、中央価格(Median Price)の方を見るということです。
マンハッタンやブルックリンのように、低額不動産と高額不動産の差が非常に大きいマーケットでは、例えばたった1軒の、超高額不動産が売れただけで、平均価格はグッとあがってしまいます。
これに対しMedian Price(メディアン・プライス)はこのような影響を統計上ほとんど受けないため、水準を知るという場合に適してるというわけです。
マンハッタンのコンド
契約ベースで見たマンハッタンのコンドですが、昨年の同月、約1.127Mだったメディアン・プライスから18%の伸びを見せ、1.335Mとなっています。
Sq.Ft.(スクエア・フィート)あたりの価格は、スタジオ、1ベッドルーム、2ベッドルームと、いずれもあがっており、大きく下がっているように見える3ベッドルームに関しては、昨年、1Sq.Ft.あたり4000ドルという超高額物件がマーケットにあった影響であると注が入っています。
そして、注目すべきはDiscount from Last Ask to Sale の数字。これはNegotiabilty Facter とも呼ばれますが、売主が最終的に提示していた額と、その後買主との交渉により決まった本当の売却価格との差をあらわします。昨年の同月に8.7%あったNegotiabilty Facter が現在4.9%。売り手が価格交渉に応じる幅が急速に狭まっているということであり、昨年まで通っていたような10%低いオファーが今年は通らないという状況です。
それと、レポートからは読み取れませんが、マンハッタンでは地域による不動産の動きにかなりの差が出てきています。わかりやすい例はミッドタウンで、今非常に動きがスロー・・・つまり買われていないエリアとなっているのにたいし、ダウンタウンの動きは活発です。
マンハッタンのコープ
平均価格、メディアン・プライスともにコンドより圧倒的に低いマンハッタンのコープですが、5月の価格は先月対比、昨年対比ともに下落しました。
コンドのメディアン・プライスが昨年対比で18%あがっている中で、11%の下落・・・コープ離れが進んでいる影響かどうかはわかりませんが、相対的にはかなりのインパクトがあります。Negotiabilty Facter は昨年の4%から3.5%と若干減りましたが、コンドほどどの変化はありません。
ブルックリンのコンド&コープ
とにかく目を引くのがNegotiabilty Facter (表中ではDiscount from Last Ask to Sale)です。昨年でも4%をきっていましたが、現在はなんと1.6%。つまり例えば、500K ($500,000) の物件の場合、交渉後に決まる最終購入価格は492Kという状況です。
5月のメディアン・プライスは先月対比ではやや上昇、昨年対比ではやや下落しています。考えてみると不動産がほとんど動かなかった2009年から昨年の半ばにかけて、バブルの影を引きずった理不尽に高額な物件が影を潜め、売り手と買い手の価格の探りあいにようやく着地点が見えてきているようにも感じます。またリーズナブルな新築物件がマーケットに現れ、その多くが成約しつつあつことも影響しているのではないでしょうか。
Sq.Ft.あたりの価格でみると、1ベッドルームで$521/Sq.Ft.、2ベッドルームで$616/Sq.ft.ですが、マンハッタン同様物件の地域による価格差が大きいため、例えば2ベッドルームを例にとれば、例えばパーク・スロープは平均に近い$618/Sq.ft.ですが、ウィリアムズバーグ(Williamusburg)は、$673/Sq.ft.ですし、ブルックリン・ハイツでは$688/Sq.ft.となります。