マーケット炎上のニューヨーク不動産。
気持ちのよい晴れの日が続いておりますが、街中は観光客で賑わっているニューヨークです。
気が付けば6月も半ばを過ぎ、前回のポストから1ヶ月以上が経ってしまいました。
週2回は新しいきじを更新したいと意気込んでいたのですが、この1ヶ月PCの前に座る時間がほとんど忙しい状況が続いておりました。
ということで少し時間が経っておりますので、このところのマーケットのサマリーを現場の印象ベースに列記してみたいと思います。
買い手市場から完全な売り手市場へ
ボクのオフィスが2005年以来のレコードセールスを記録したのが昨年の11月。その頃から現場では明らかに不動産マーケットの回復に伴う価格上昇と売り手意識の変化が見て取れていたわけですが、約半年たった現在ようやく一般の方にもその事実が肌で感じられるマーケットになりました。
価格は上昇の一途。人気物件はまさにマーケットに現れると同時に売れていっている状況です。売り手にとっては「強気の売値を試すチャンス」であり、買い手にとっては「買いたくても中々変えない」のが現在のマーケットの状況と言え、このマーケット感の理解が、売り手・買い手、どちらの立場であっても重要です。
低金利がさらに進むモーゲージ
先日クライアントの方が取得したレート(金利)は30年固定金利のローン(30-year Fix)でなんと3.65%でした。一昔前の約半分という状況です。投資家向けローンも0.25%から1%を上乗せしたレートですので、明らかにローンを組むには最高のタイミングです。
ただし、ローンを借りられるかどうかの基準に関しては、借り手に対する審査と、購入物件に対する審査の両方で厳しさが増しておりますので注意が必要です。
ますます進むコープ離れ
コープに対しては物件探しの当初から「NO」の意思表示をするバイヤーの方が増えている気がします。それでも結果として価格の安さからあきらめてコープを購入される方も多くみられますが、数年前のバブル時のようにコープとコンドの違いもわからずに購入する・・・などという話しはすっかりなくなりました。ただブルックリンを中心に存在するような「コンドに近いコープ」を求められる方は微増しているのではないでしょうか。
新築コンドの在庫逼迫
この件に関しては以前も何度か触れましたが、デベロッパーが新築物件を建てる際に必要なローン(Construction Loan)は未だ非常にタイトな状況で、当面この状況は改善しそうにありません。物件探しの際に「少し待てば何かでるのでは?」と考える気持ちはわかりますが、何か出たときには以前よりもかなり割高になっている可能性が高いことを覚悟する必要があります。
タウンハウス・築浅コンドは売り時
圧倒的にタマ数が少ないのがタウンハウスマーケットです。特に人気エリアのブラウンストーンには、ファーストオープンハウスで100人以上の見学者が訪れ、あっという間に複数オファーが入るという状況も珍しくありません。強気な値付けがマーケットに広がってきているので、数年内に売却を・・・と考えられていた方は、今のマーケットの波にのることを真剣に考えてみることをお薦めします。
また築年数が浅いコンド、特にTax Abatement が現時点でもまだ20年程度残っている物件は、エリアによりますが有利な展開で販売が可能なマーケットコンディションです。
日本からの投資
「10年後の値上げを期待し」という理由だけで投資物件を探すのは非常に危険ですので是非思いとどまってください。現在の投資マーケットは10年前、15年前どころか、5年前とも状況が全く異なりますので投資には十分な注意が必要です。特に現在のマンハッタンマーケットで「投資」というのは、ローカルインベスターの常識ではありえない話しですので要注意です。この件に関しては近日中にあらためて書きたいと思います。
スピードが重要な物件購入
少し前よりもマーケットには良い物件がでています。というのも売り控えをしていた物件のオーナーたちが、マーケットの上昇に気が付き、物件を売り始めたからです。ただし問題なのは、ネットを通して物件情報があっという間にマーケットに広がる現在、良い物件がでれば誰もがそれに気が付き購入に動くということ。
そのためよい物件の購入するためには、(1)資金的な余裕(2)一流のモーゲージブローカーと弁護士を含めた十分な事前準備(3)一気に前に進むスピード(4)複数入札になった際に戦う心構え・・・そしてもちろん不動産エージェント。マーケットに精通していることはもちろん、新しい物件情報に誰よりも早いアクセスを持っているタイプの不動産エージェントが重要です。